出題項目のポイント

この項目では,イノベーション,技術経営(MOT),ベンチャー企業マネジメント が中心に出題される。平成 18 年の試験制度改定により,「新規事業開発」の科目がな くなったため,当科目はイノベーションとの関連性が非常に深かった。企業経営理論 でも定期的に出題されている。内容はイノベーション自体の定義が問われたり,イノ ベーションの類型(プロダクト,プロセスなど),イノベーションのジレンマなどの 用語についての理解が求められている。また,自社単独ではやりきれない場合,外部 の力も活用したオープンイノベーションにも注目が集まっている。

技術経営では,2 次試験の事例IIIにつながる範囲が多数出題されている。平成 25 年度には,取引先との関係における技術戦略も問われている。さらにイノベーション 分野とも関連が深いが,研究開発のプロセスや,製品アーキテクチャ(電機業界のモ ジュール型と,自動車業界のインテグラル型)の特徴,果ては,知財戦略まで含まれ る。 また,ベンチャー企業のマネジメントでは,企業の成長ライフサイクルにおいての 振る舞いや,ダーウィンの海や死の谷などの成長を阻害する要因なども把握しておく 必要がある。

出題の傾向と勉強の方向性

電機・家電業界,自動車業界の事例が問題文とされるケースが多く,業界固有の設 問も散見されることから,基本的な業界知識は確認しておきたい。平成 28 年度も自 動車業界,電機業界からの出題があった。もちろん,MOT の基礎知識は必須といえ る。コア技術戦略,プラットフォーム戦略などの重要用語を理解しておく必要がある。 難問も多いが,一方で,幸いなことに,問題文が長い出題が多い。問題文が長いと 読み込むのは大変になるが,その分,選択肢を選ぶ前にたくさんのヒントを出してく れていると考えるべきである。

たとえば,平成 22 年度第 7 問では,「科学的な基礎研 究が事業に直接に結びつくとは限らない。」という文面から問題文が始まる。そうす ると,選択肢の中では,一番,事業から遠く,基礎研究に偏っているものが問題で不 適切であることがわかる。このように,知識が不足していても,現場対応できる問題 も多いので,問題文を大切にしながら取り組んでほしい。 また,前述したが,2 次試験の事例IIIが苦手な受験生は,ぜひこの範囲の知識を重 点的に確認しておいてほしい。


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