出題項目のポイント

経営資源の項目では,コア・コンピタンスや,リソース・ベースド・ビュー(RBV) の理解がポイントとなる。コア・コンピタンスとは,経営資源を組み合わせて,企業 の独自性を生み出す組織能力である。RBV は,資源依存型戦略理論の 1 つである。 もともと,市場におけるポジショニングに軸足を置いたポーターの戦略論があり, PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)も市場の状況を見ながら,自 社の資源をどこに投入していくかを考えるフレームワークであった。 一方,それらとは対照的に,RBV は競争優位の源泉を企業の内部資源に求める戦 略理論である。RBV では,VRIO 分析が用いられる。

経済価値があるのか(Value), 希少性があるか(Rarity),模倣されにくいか(Imitability),組織的に行われている か(Organization)の 4 つの区分から,企業の経営資源が競争優位をどれだけ持って いるのかを分析するのである。

出題の傾向と勉強の方向性

平成 27 年度は,企業の経営資源と持続的な競争優位が問われた。

王道の出題であ り,2 次試験にもつながる考え方なため,必ず押さえておきたい。経営資源論では, 平成 22 年度,20 年度,18 年度と出題されている。また,別章に分類された中でも, 平成 23 年度(第 3 問)に引き続き平成 29 年度第 3 問で VRIO 分析の出題がある。

平成 25 年度は PPM が問われたが,「負け犬」事業だから,すぐに撤退を図るわけで はない。古典的な知識だけではなく,こういった戦略論が現在どのように変化を遂げ ているか,設問文から読み取っていく必要がある。さらに,平成 26 年度には事業の ライフサイクルや撤退戦略が問われており,成熟化時代にどのように新陳代謝を図っ ていくべきかという視点も求められている。

経営資源戦略のキーワードなどの知識問題から,経営資源戦略を実施することで, どういった競争優位が構築できるかの事例問題の出題が多くなっている。 今後も本章は出題が増える可能性があるだろう。企業経営理論のどの範囲の対策を とってもそうだが,ベースとなる知識を確実に押さえる知識力とともに,問題文や選 択肢の文章を読み解く読解力が求められるであろう。


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